ネパールで病気になって、ネパール人の優しさが身にしみた話。

妻です。

チトワンにあるネパール人の友人キムさん家の約2週間のホームステイ生活を終えた私たち。地震の被害が残るラムチェ村へのボランティアツアーに参加するべく、カトマンズへ戻ることにしました。

しかし、カトマンズ行きのバスから私の体調が悪くなってしまったのです。

地獄のバス移動

お世話になったキムさん家族に別れを告げて、カトマンズ行きのバスに乗車。しばらくして異変発生。「あれ?めっちゃ寒い」でもエアコン付いてないし、夫は全く寒そうじゃない。寒いのは私だけ。持っているものを全て着込む。休憩中かんかん照りの車外に出ても、寒くて鳥肌が立っている自分の体を見て私は「熱が上がるな」と確信した。

そしてこれが悪夢の始まりだった。

寒気はさらに悪化し全身が震えだした。いわゆる「シバリング」

シバリング(shivering)とは身震い等による体温調整を行う生理現象視床下部で調整されており、骨格筋をランダムに収縮させることにより熱産生を増加させる(wikipediaより)

おそらく私の体内に何らかのウイルスか細菌が入り、それらと戦うために体温を上昇させる必要があり、シバリングが起こったのでしょう。私は看護師なので日頃から仕事で患者さんのシバリングを見たり、対応しているわけですが、自分がこんなに激しいシバリングに長時間襲われたのは初めて。シバリングが起きている時の身の置き所のないようななんとも言えないしんどさを初めて経験しながら「シバリングってこんな感覚なのね!勉強になるわぁ」と看護師根性を発揮させていました。シバリングだけでもしんどいのに、悪路を進むバスは激しく揺れ続ける。縦揺れ・横揺れ・ローリング揺れ。もうひっちゃかめっちゃか。地獄だ。

1時間ほどしてシバリングが治まると予想通り、全身が熱くなってきました。熱でもうろうとした頭で「早くカトマンズに到着してくれー!!」という願うも、やはり今回もバスが渋滞にはまる。

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私は全く覚えていないのですが、熱にうなされながら「もう嫌だ、地獄だ、日本に帰りたい・・・」と言っていたそうです。

6時間で到着する予定が8時間かかってやっとカトマンズに到着。カトマンズは雨。

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意識もうろうとしながらホテルのベットへ倒れこみ、体温測定。39.7度。

「高熱が出ているということは私の免疫が頑張ってくれているという証拠、頑張れ私の免疫!」と ここでも看護師根性を発揮し、解熱剤も抗生剤も内服せずとにかく水分を摂取して就寝しました。

ラムチェ村断念

翌朝、体温が38度台へ。発熱以外の症状はなく、気分良好!しかし、こんな体調でボランティアに行くのは不安だし、他の参加者の方に迷惑をかけてしまうかもしれないと思い、ラムチェ村へのボランティアツアーへの参加は断念しました。悔しい!!

その翌日夫はラムチェ村へ出発していきました。夫は出発ギリギリまで「本当に一人で大丈夫?やっぱり僕残ろうかな」とかなり心配してくれていましたが、「大丈夫、大丈夫!これくらいどうってことないよ、私は看護師だよ!!」と無理やり送り出しました。熱は相変わらず38度台。熱よりも頭痛が辛くなってきて鎮痛剤を内服。ずっとホテルにこもっているのもなんだかなぁといことで、近くの日本料理屋「ふる里」へ。生姜焼き定食を頼む。

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久しぶりの味噌汁に感動。味噌汁と白米完食。感動しながら食べてると、店にイケメン来店。他に空いてる席がなく、イケメンと相席に。「誰にも会わないしね」とスウェット、すっぴん、頭ボサボサ状態で出てきていた私。オーマイガー!!とりあえずうつむいて食べ続けるも、こんな時に限って、そのイケメンがすごく喋りかけてくる。もういいか!と開き直って、おしゃべりしました。彼はニューヨークで働く弁護士(肩書きだけでもかっこいい!)で、休暇を使ってヒマラヤに登山に来とのこと。日本食のおすすめメニューを聞かれたので、カツ丼を勧めると、なんとカツ丼と刺身定食をオーダー。丼と定食って。ごめんね、説明不足だったかな。彼は「美味しいよ!」と言いながら頑張って食べてました。

帰り道に激しい頭痛に襲われる。イケメンなんかとおしゃべりしたからだ・・・・。

痛む頭を抱えながら必死に歩いてホテルへ帰る。再び鎮痛剤内服。夜中にシバリング・発熱・嘔気出現。眠れず、長い夜を過ごす。

我慢できず病院へ、ホテルのスタッフが助けてくれる

頭痛・繰り返すシバリング→発熱の症状に耐えられず受診を決意。「入院になるかも」と部屋の荷物を全てパッキングし、入院に必要な荷物をリュックに詰める。これがもう大変な作業。普段なら20分もかからずできることなのに、思うように体が動かないので、痛む頭を押さえながらノロノロと準備する。

看護師として働いていた頃、入院の準備をバッチりして救急車で受診してくる患者さんがいたけど、あれは日頃から「防災セット」のように「入院セット」を準備しているのかな、こんなしんどい体で準備するのは難しいもんな。とか余計なことを考えたりしてさらに準備が遅くなる。結局準備だけで1時間もかかった。

ホテルのフロントへ降りて、体調が悪いので病院に行きたいのだが、その前に保険会社に電話したいので電話を貸して欲しいとお願いする。ホテルの固定電話ではつながらず、若いホテルスタッフが僕の携帯を使って、と言ってくれる。この番号は有料だから、それは申し訳ないと伝えるが、「そんなこと気にしないでいいから!」と。結局スタッフの携帯を借りて電話し、保険会社につながるが途中で切れてしまう、「ごめんね、携帯のチャージがなくなったみたい」と彼はホテルから走り去り、携帯の通話料金をチャージして帰ってきてくれた。ようやく保険会社の人と話ができ、近くの病院へ受診することになる。

ホテルのスタッフはみんな本当に親切で、電話を貸してくれた若いスタッフとは別のスタッフが受診する病院に連絡して、「今からうちに泊まってる日本人女性が受診したいんだが大丈夫か」と確認の電話をしてくれたり、タクシーを拾い、しかも病院にまで付き添ってくれ、受付の手伝いまでしてくました。

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f:id:ryo-saya:20171101024722j:plain受診した病院は綺麗な病院で日頃から外国人患者を受け入れているようでスタッフみんな英語が堪能でした。

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受付後、ナースに呼ばれ別室へ。バイタルサイン測定の後、今回の経過について質問される。もちろんナースも英語ペラペラ。(ネパールの看護教育は全て英語らしい)

そして、次はドクターの診察だから待合で待っていてねと。

その間にもシバリングが再び襲ってきて、ガタガタと震えてくる。

その様子を見たナースが処置室に案内してくれ、ストレチャーに寝かせてたくさんの毛布をかけて保温してくれる。そして、「まだ寒い?温かい紅茶かコーヒーを持ってきましょうか?朝食は食べた?何か持ってきましょうか?」めちゃくちゃ優しい。涙出そう。水があるので大丈夫と伝える。体が弱ってる時って人の優しさが本当にしみるな。

程なくして内科女性医師がやってきて診察開始。簡単な問診・触診・聴診・喉の培養検査。5分で診察終了。その後2人のナースがやってきて両手から採血。鼻歌を歌いながら、華麗な手つきで採血終了。そしてここでもあの質問「朝から何か食べた?ジュースか食べ物持ってきましょうか?」水があります、ありがとう。

同じ部屋で寝ながら結果を待つことに。

シバリングと頭痛でしんどいながらも、処置室にある道具が気になる。ここでも看護師根性が出てきて写真を撮ってしまう私。

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この部屋は処置室で色々な医療材料がるので、いろいろなナースが入れ替わり立ち代り点滴の針やアルコール綿などの材料を取りにやってくる。新しいナースがやってくるたびにあの例のやりとり「何か飲み物を」「何か食べ物を」どうしてみんなこんなに私の食べ物の心配をしてくれるんだろう・・・・

先ほどの内科の女性医師がテンション高めにやってくる。「コングラチレーション!マラリアはネガティブだったわよ!」一緒になってハイテンションで喜び、ハイタッチでも出来たら良かったのだが、その気力も体力も私にはない・・・。

「ただ、他のバクテリアが体の中に入っていて、それが原因で熱が出ているみたいね」まだ結果が出ていない項目もあるらそれを別室で待ってねと。ナースと一緒に部屋移動。起き上がると激しい頭痛でつらい。「これを使いましょう」と車椅子が用意されていた。

「大丈夫歩けます!」

「いいえ、今のあなたにはこれが必要よ!」

そういえば、こんなやりとりを自分も患者さんとしていたな。このままずっと乗るのを拒んでたら逆に迷惑な患者になっちゃうよな、このナースに素直に従おう。車椅子に乗ると、はい、「患者さん」の完成  って気分になる。

外来にあるトイレ・シャワー付きの綺麗な病室に案内される。

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そして、抗生剤と頭痛薬を手渡され内服する。

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そして、またあの質問「何か食べたいものはない?」

私「食欲がなくて食べれません」

ナース「あなた、今薬飲んだでしょ、それなら食べなきゃだめよ。」

私「フルーツを、少しなら食べれるかもしれません」

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どんぶりいっぱいのリンゴが届きました。ナースは私が数切れリンゴを食べるの見届け(食べ始めるまでずっと見張っていた)尿計測の説明をし、出て行きました。

1時間後にはシバリングも止まり、頭痛も少しマシになり楽に。その頃に感染症科の男性医師が登場。「ハジメマシテ」少し日本語は話せる医師でした。内科の医師よりさらに詳しい問診、聴診、診察を受ける。

 「このままホテルに帰って大丈夫?あなたのホテル良いホテルなの?血液検査の結果もあまり良くなかったし、この症状で一人だと大変でしょう。入院した方がいいと思うよ」と優しい言葉をかけてくれました。

正直迷ったけど、入院したと聞いたら夫は心配しちゃうだろうし、薬も効いてきて症状も落ち着いてきたし・・・。結局入院はせずホテルへ帰りたいと伝える。尿検査を追加でしてみて、それがOKなら帰りましょうということになる。

担当のナースが尿検査のカップを持ってやってくる。

「あれ?リンゴこれだけしか食べてないの?もっと食べなきゃ、あれ?Pは?P出てないの!?」Pって尿のことみたいです。飲みなさい、食べなさい、おしっこ出しなさい、厳しいなぁ。

 結局尿検査の結果は異常なし。ドクターは「しんどくなったら、いつでもおいでね24時間空いてるから。何もなくても2日後にきてね」と言ってくれました。帰ろうとすると、ホテルのスタッフ登場。「なかなか帰ってこないから心配になってね」様子を見に来てくれたのです。優しすぎるよー!!

ホテルに戻りラムチェ村にいる夫へ受診したことと結果をメール。帰ってからもシバリング→発熱の繰り返しと頭痛に苦しむ。夕方やっと眠りにつく。

19時ノックの音で目覚める。私からのメールの返信がなく「部屋で死んでるんじゃないのか」と心配した夫がホテルへ電話し、スタッフに部屋の様子を見てきてもらうようお願いしたようだ。

様子を見にきてくれたのは日本語が話せるネパール人のオーナー。彼もやはり「ご飯は食べましたか?薬飲むな何か食べないと」やはり私の食べるものの心配をしてくれます。ありがとう夫に生きていることを伝え 頭痛薬を内服し再びベットへ。

回復

翌朝目覚めた時点で、昨日より体調が良くなっていることを実感。「自分の体が戻ってきた」という感覚。それでも発熱・頭痛は持続しているので部屋で安静に過ごす。

携帯の画面を見ていると頭が痛くなるので、ひたすら外を眺めていました。

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ラムチェ村ボランティアツアーの企画者の方が下さった梅粥をいただく。

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病気の時の梅粥ってこんなに美味しいものなんだ!!とひとり感動。梅粥最高!!この後順調に回復し、2日後の再診察でもドクターから「随分と良くなったね、もう大丈夫」と太鼓判を押してもらいました。

完全復活!!

夫がラムウチェ村から帰ってくる頃にはすっかり元気になっていました。

カツ丼をモリモリ食べて完食する私を見た夫は「本当に病気してたの?」と言ってました。

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病み上がりのカツ丼最高!!

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病気は辛かったけど・・・

今回の病気はなかなか辛かったです!でも今回病気になったおかげで

*ネパールの医療事情

*シバリング体験

*海外旅行保険の重要さ

が学べてラッキーでした。(やっぱりここでも看護師根性が出てくる)

そして何より、ネパール人の方々の深い優しさには感動しました!!

お世話になったネパールへいつか恩返しをするぞ!!

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