夫です。
ルアンパバーンで有名なのが托鉢(たくはつ)だ。托鉢とは僧が鉢を持って歩き、人々から食べ物やお金をもらう僧にとっての修行のひとつだ。日本でもやってるみたいだがルアンパバーンではその規模が大きいのと誰でも体験できるので観光アクティビティの目玉になっている。
托鉢は日の出に合わせて行われるので5:30〜6:00ぐらいにスタンバイしなければいけない。ナイトマーケットが行われるメインストリートが托鉢の一大スポットだ。
沿道に数百のプラスティック椅子がずらっとならび観客席のようになっている。座っているのは全て観光客だ。ディズニーランドやUSJのパレードを待っているかのよう。
おばちゃん達が托鉢であげる用のお菓子やおひつに入ったカオニャウ(もち米)をガンガン売りに来る。
みんなこれを買ってイスに座っている。
いや、あまりにも観光ナイズされすぎてやしないか?!宗教儀式でしょ?池の鯉にエサやるんじゃないんだから。あまりにも商業的システマチックなので少々引いてしまい、我々は参加しなかった。
6:00を過ぎる頃、お坊さんたちが大きな寺から出てきた。
一言も話さず、一人一人、座っているひと全員から食べ物をもらい進んでいく。後ろの方には子供の僧もいる。
20人ぐらいのお坊さんの集団が3つか4つ過ぎていった。
どうやら終わったようだよと、観光客はみんな立ち上がって帰って行った。
これはこれで見応えがあるけど、もっと地元の人が参加しているような托鉢が見たいなー、他の寺の托鉢ないかなー、とぶらついていると、メイン通りから一本メコン川の方に下った通りに、あった。
「 VAT CHOUM KHONG SOURINTHARAME」(ワット チョムコーン)
小さな寺の前に地元の方が2人、米の入ったお椀を持って正座している。どうやらこの寺に僧が帰ってくるのを待っているようだ。これこそリアル托鉢にちがいない!俺もやってみる!とカバンに入ってたチョコを握りしめ、正座しているおねえさんの横に恐る恐る座るとおねえさんが笑顔で迎えてくれて、「これでやるといいわよ、ジャパニーズ」というような表情でもち米をわけてくれた。
すぐに、僧達が帰ってきた。急に緊張してくる。
お姉さんのやり方を見て、もち米をひとつまみし、タイミングを計る。
いざ、寄進!
次から次につまんで差し上げなければいけないので結構大変。
無事、寄進を終えると、なんとも言えない清々しい気持ちになった。村上春樹がラオス本の中で、「托鉢をすると土着の力、儀式の力というものを感じられる」と言っていたのはこのことかと得心した。
リアル托鉢が体験できるこのお寺、中もオススメ。
村上春樹が書いていた、猿が寄進する像がある。
さっきまで自分が寄進していたので、猿になった気分になる。
ちなみに僕が差し上げた米をお坊さんが猿にあげてた。
村上春樹つながりでもう一つ。
本の中で、「僧の日傘が黒なのがよろしくない、日傘もオレンジにした方がいい」と言っていたけど、僕らが滞在した時に見かけた僧はほとんどオレンジの傘だった。村上春樹読んだのかな。
「おい、知ってるか、ハルキ・ムラカミが俺らのこと書いてて、傘はオレンジにした方がいいって言ってるぞ。」
「まじで!やばいじゃん、俺黒しか持ってない」
「明日、托鉢おわりで買いに行くべ!」
「行くべ!」
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